今回は私、谷尾和昭が大好きな横須賀線の車両です。
JR東日本の東海道線E217系が、2015年の3月に引退しましたね。
でも、この事実には意外と気づいていない人も多いかも?
みなさんが東海道線といわれて思い浮かべるのは、E231系とE233系ですよね。
おなじみの、オレンジとグリーンのライン。いわゆる、湘南色と呼ばれる車両です。
戦後間もないころの80系までさかのぼる伝統色で、もとはイギリスのグレートノーザン鉄道の機関車を参考にしたものでした。
それが、211系や現在の車両にまで受け継がれているわけです。
そして、これらにまぎれてこっそり湘南カラーで走行していたのが、E217系だったんです。
E231系やE233系との大きな違いは、前面の貫通扉です。
これは非常時のために設けられたものですが、E217系ではすでに廃止されたにもかかわらず、その痕跡だけがデザインとして残っているんです。
横須賀線を利用している人なら、ピンとくるのかもしれませんね。
そう、これは横須賀線の車両の色違いバージョンなんです。
前面の貫通扉も、もとはといえば、横須賀の品川-錦糸町間のトンネルのために必要だったものなんですね。
では、なぜ横須賀線のブルーとホワイトのラインが塗り変えられたのか。
そのきっかけとなったのが、2004年の湘南新宿ラインの増発。それにともない、車両をすべてE231系へ統一。
結果として、横須賀線の一部にE231系が乗り入れ、もともと走行していたE217系ははじき出されることになりました。
反対に車両が足りなくなった東海道線へ、2006年にE217系が3本転属されたわけです。
その後、何度か横須賀線と転属を繰り返しますが、その間に走行していた湘南色のE217系は、それだけめずらしい車両だったんですね。
残念ながら、2015年には完全に運行終了。東海道線はすべてE231系とE233系に統一され、二度とその姿は見られなくなってしまいました。
もちろん、E217系はふたたび横須賀線に転属されて、今でも元気に活躍しています。
もし見かけたら、ぜひ湘南カラーだったころの姿にも思いを馳せてみてください。
E217系
E231系
E217系(横須賀線)とE231系の並走